ついに夢のマイホームが完成して、あとは引き渡しを待つのみとなった時、ひとつ疑問が浮かんできませんか?それは、引越しをする前に新居の掃除はするべきなのかどうかということです。新築なのであれば掃除は不要だと考える人も多いですが、実際のところ、どうなのでしょうか。いくつかのポイントを踏まえて解説していきます。
引き渡し後の新居はどんな状態?
新築物件の場合でも、引き渡し前のハウスクリーニング実施は基本です。一般的にいうハウスクリーニングとは、クロスや床をはじめ、窓や水回りなどの掃除も対象となります。
もちろんまだ誰も住んだことがないうえに、このようなしっかりとしたクリーニング対応がされていれば、引き渡し後にわざわざ自分で掃除する必要はないと思うでしょう。
しかし、実は業者によってクリーニング範囲が異なるケースもあります。たとえば作り付けの食器棚やテレビボード、そして意外に盲点なのが洗面台の引き出しなど細部までは対応していないというパターンです。
したがって、すべての新築物件が入居時にきれいな状態であるとは限りません。そのため、依頼している業者のクリーニング対応範囲をあらかじめ確認しておくことをおすすめします。
また近年では、気密性の高い住宅が増えていることはご存知でしょうか。これは住宅における長所でありながらも、非居住の期間が長くなればなるほど密閉空間と化してしまう恐れがあるのです。
密閉空間ではちりやほこりが溜まりやすくなります。事前に充分なハウスクリーニングが施されていたとしても、引き渡しから入居までの期間が空く場合は再度の掃除が必要になるでしょう。
引越しの前に掃除を済ませておくメリットは?
引越しの前に自ら掃除することでいくつかのメリットもあります。まず、何かしらの不具合があった場合、早期に発見および報告ができるという点です。傷や穴など、住み始めてから見つけてしまっては対応にも時間がかかるでしょう。もし入居前でまだ家具なども運び入れられていない段階であれば、ハウスメーカーとしても比較的対処しやすいはずです。
そして新築時のまっさらな室内は、汚れの予防対策ができるという点でも引越し前の掃除は有効だといえます。大きな家具や家電を配置する前に、シミやカビの対策を徹底しましょう。今後、掃除がしづらくなる箇所は確実に生まれます。
その前に隅々まで掃除しておくことはもちろんですが、そもそも設計の時点で少しでも掃除が楽になる意識を持って家づくりをしておけばよいのかもしれません。そのポイントとして挙げられるのは次の3つです。
1つ目は極力段差を少なくすること。段差にはどうしてもほこりが溜まりやすくなります。掃除機もかけにくく、昨今流行りのお掃除ロボットもスムーズに動けません。そのため、なるべくフラットな間取りにすることをおすすめします。
2つ目は、なるべく造作家具でつくり込んだほうがよいということ。ソファーや本棚が造作家具であればいちいち動かして掃除する必要がなく、元々ぴったりのサイズでつくられていることから狭い隙間が存在しません。また収納棚などは床から浮かせた構造も人気ですが、これはデザイン性だけではなく掃除が楽だというのも人気の理由なのではないでしょうか。
そして3つ目は、コンセントの配置です。コードレス掃除機が主流となりつつある現代ですが、まだまだコード式掃除機を使う家庭も多くあります。お掃除ロボットの場合も、延長コードの使用などあるでしょう。掃除するイメージを具体的に思い浮かべながら、掃除機が使いやすいようなコンセントの位置、数を考えてみてください。
新築の住まいの掃除でやるべきこと
では、新築の掃除で優先すべきポイントを3つ紹介します。
換気しながらほこりを落とす
新築物件には、新しい家ならではの独特な香りがありませんか?あのにおいが好きな人も多いですが、実は建材に含まれる薬剤などが充満しやすいからこそのにおいであり、これがシックハウス症候群の原因になるともいわれています。そのため、掃除の際は必ず窓やドアを開けて換気をしながら行っていきましょう。
床の掃除機および洗面台などの拭き掃除
床の掃除は、落としたほこり、溜まったほこりをまず掃除機で吸い取ってから、そのあとに固く絞った雑巾で拭いていきます。仕上げにワックスをかけるのも、傷の防止策としてよいでしょう。
そして、前述したとおり洗面台の引き出しなどはクリーニングされていない場合も多いため、こちらも拭き掃除をします。同時にキッチン周りもアルコールスプレーなどで拭いておけば、衛生的にも安心です。
玄関やベランダの掃き掃除
住宅の顔である玄関、そしてベランダにも、ほこりや落ち葉などが溜まっています。ほうきとちりとりである程度の掃き掃除はしておきましょう。目立った汚れがあった場合は、水拭きや重曹で落とすケースも予想しておくとよいかもしれません。
掃除が楽になる家づくりのポイント
掃除が楽になる家の特徴を紹介します。掃除が楽になる家はシンプルで段差が少ないことが特徴です。
掃除機や雑巾掛け、掃除ロボットが使いやすいように、シンプルな間取りを心がけましょう。また、窓の配置や使う床材にこだわると掃除がよりしやすくなります。
シンプルな間取り
シンプルな間取りの家は掃除が楽になります。シンプルな間取りであれば掃除機や雑巾掛けをしやすく、掃除がスムーズに進みます。
家づくりの際は部屋数を減らしたり、段差や沓摺りをできるだけフラットにしたりすると掃除がしやすくなるでしょう。でこぼことした家は掃除が行いにくいため、リビングのダウンフロアはおすすめしません。
段差が少ない
段差が少ない家は掃除が楽になります。床に段差が多いとホコリが溜まりやすく掃除が大変です。
また、段差が多いと掃除ロボットも効果を発揮しないため、家づくりの際は段差を減らす工夫をしましょう。段差と同じく、溝が多いと掃除の数も多くなります。
そのため、引き戸を設置する場合はレール式ではなく上吊り式にすると溝を減らせます。同様に、壁の段差を減らした家の造りは掃除に向いています。
収納スペースが多い
収納スペースが多い家は掃除が楽になります。収納スペースが多ければ片付けがしやすく、お部屋にスペースが生まれます。
物で溢れごちゃごちゃとした部屋は掃除が面倒なので、収納スペースは多く作りましょう。たとえば、ランドリースペースやファミリークローゼットが広めに作られた家は掃除がしやすくなります。
また、テレビやタンスなど、あまり動かさない家具は浮かせて配置できるものを選ぶとよいでしょう。同時に床下収納や靴箱、食器棚などの作りをチェックすると掃除のしやすさがわかります。
空気が循環する窓の配置
窓の配置を工夫すると掃除が楽になります。窓が多い家は換気がしやすいため、ホコリやカビが発生しにくいメリットがあります。
掃除の手間を減らすため、窓の数や場所は重要です。理想は向かい合う壁にそれぞれ窓をつけることなので、家づくりを行う際は相談しましょう。
窓を大きくするだけではなく、位置も重要なので、風をキャッチできる場所を考えて家づくりをしてください。窓の位置は風通しを考えて配置するとよいでしょう。
汚れにくい床材
汚れにくい床材を使用すると掃除が楽になります。ホコリや汚れが溜まると掃除が大変なので、手間が省けるように場所に応じて汚れにくい床材を使用しましょう。たとえば、水回りにはクッションフロアを使うと、水や油などの汚れをサッと拭き取れます。
また、リビングに使うフローリングは耐水コーティングをしているものであれば、掃除が楽になるでしょう。タイル素材も人気ですが、溝にホコリや汚れが溜まりやすいため、おすすめしません。
まとめ
一見すると掃除は不要かと感じる新築物件でも、人の出入りや大工さんの作業、時間経過によって少なからず汚れは生じます。目に見えない雑菌などが残っている可能性もゼロではありません。
心地よく入居日を迎えるためには、ハウスクリーニングだけに頼らず、自身の手でも掃除をしたほうが衛生的にも安心ではないでしょうか。
また、入居後も新築時の状態をなるべくキープするためには、家づくりの段階から掃除が楽になる間取りを考えるというのも賢い方法です。